これは、私が佐那河内村の隣、神山町に住むフードフォトグラファー・近藤奈央(こんどうなお)さんとの公開往復書簡です。日々の暮らしの中で思ったこと、気づいたことをお互いのブログでお手紙のように伝えていきます。近藤奈央さんのサイトhttps://magewappa-bento.com/
なおさん
先日の記事で書かれていた仕込みの件は、同感することがとても多かったです。いかに空白の時間と空間を作るか・・・ということはクリエイティブの源につながることだと思いました。
そして最後の写真に添えてあった「新しい形に挑戦したら全部割れました。」という箇所に、釘付けになりました。
失敗は成功の母と言いますが、その通りだと思いながらも 失敗を目の当たりにした瞬間はやりきれない気持ちでいっぱいになります。
私は最近、正月用の栗の仕込みをしています。いつもは皮をむいたそばから炊いていくよのですが、その日に限って、「とりあえず剥き栗のまま、冷凍しておこう」と、冷凍したんです。
市販の冷凍栗はそのまま使ったことがあるし、特に問題ないだろうと踏んでいました。
翌日、解凍したものを触ってみると何か様子が違う。あれ、柔らかいな。繊維が壊れたかな。。。気になることがありましたが、このままいつもの材料と時間配分で炊き始めました。すると、どんどん割れていくではありませんか。結果、8割がた形くずれしてしまいました。正月用の甘露煮なので割れ栗は商品になりません。
今までの苦労が水の泡・・・
普段ならこんな気持ちになる私ですが、今回はなぜか冷静に受け止めることができました。
「あ〜 割れたなー」
覆水盆に返らず。どう修正することもできない
・・・・・
「栗ペースト?栗ジャムにでもしてみようか?」
なぜかそう思えてきて、イメージが膨らんできました。
何が違ったかというと、いつもより、ゴールまでの仕込みの時間をかなり長くとっていたことです。いつものスケジュールより、「やり直す時間のバッファ」を余計にとっておくことで、心の余裕というか、失敗の受け止め方が全然違いました。むしろ栗の扱いに関する気づきをたくさん得られたと。
悪いように考えればいくらでも状況は悪くなりますが、いいように考えればいくらでもいいようになる。
日々の時間に余白をつけながら、そんな風に 気軽にやっていきたいと思うこの頃です。