これは、私が佐那河内村の隣、神山町に住むフードフォトグラファー・近藤奈央(こんどうなお)さんとの公開往復書簡です。日々の暮らしの中で思ったこと、気づいたことをお互いのブログでお手紙のように伝えていきます。近藤奈央さんのサイトhttps://magewappa-bento.com/
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なおさん
先日のお手紙で 印象的だった言葉を見出しにさせていただきました。
究極的には、精神に何も作用せずたた食べているだけで喜びが全くなかったとしたら、生きていられないんじゃないか?とさえ思えました。
先日のことです。なるとの「ろうそく夜」さんに行ってきました。
お寺の境内にお店があるというのがすでに非日常的でした。
まるで”森の中の小さなお家”と呼びたくなる、佇まい。
知人に紹介してもらって、以前から行きたかったお店です。
この日は、ベジ系のディナーコースでした。
一皿一皿、丁寧に素材と向き合って、料理人が答えを出されたお料理がゆっくりと供される時間。
前からこういう時間はとても好きでした。
久しぶりの美しき時間と優しいお料理。ゆっくりと味わいながら、お店の空気感や自分が好きだったあれこれを思い出しながら、今を愛おしく味わう時間。大変に自分を満たしてくれました。
そこで思うわけです。
「私はパンだけを食べているのではない」
パンに象徴される物理的な食をいただきながら、食の周りにある空気、時間、エネルギーを取り込んでいるのですよね。
そういった見えない部分を、私たちは見えるもの以上に無意識に信頼しているのだろうと思いました。
女性がカフェでゆっくりと過ごすのが好きなのも、無意識にこういった食べ物を取り囲む雰囲気や時間、エネルギーに触れることで、自分が満たされることを知っているからなのでしょう。
また美味しいものと素晴らしい時間をご一緒しましょう!