ヤッホー!暮らしの往復書簡vol.34 雲散霧消

2021.07.28

コラム

これは、私が佐那河内村の隣、神山町に住むフードフォトグラファー・近藤奈央(こんどうなお)さんとの公開往復書簡です。日々の暮らしの中で思ったこと、気づいたことをお互いのブログでお手紙のように伝えていきます。近藤奈央さんのサイトhttps://magewappa-bento.com/

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なおさん

こんにちは。前回のお手紙ではいかにも夏らしい空や森の景色をありがとうございました。みているだけでトリップしたような気持ちになりました。

雲が山から出るということについて、先日まさにそのような現象を目の当たりにしたので紹介します。

近くにある大川原高原に登った時のこと。日暮れ前の時間帯でした。

私が登った山から見て、神山町の方向にある一つの山の頂に少しずつ雲が集まり始めました。

その雲たるや、どんどん大きくなっていくのです。今わたしのいるところは晴れているけれど、あの山は雨が強まっているのだろうと思われました。

雲はさらに大きくなっていきます。どこまで膨らんでいくのだろうと思いながら見つめていました。

その後、どうなったとおもいますか?

なんと、雲が霧となって裾野に広がっていったのです。

「雲散霧消」という言葉が、ぴったりくる景色でした。

その霧は神山町の山から麓の鮎喰川、続く吉野川を伝って、北へ、東へと広がり、吉野川流域の広範囲を、うっすらとした霧のベールで包んでいきました。

とても神秘的で、言葉が見つかりませんでした。

徳島で暮らしていると、なんとなく目の前が霧がかったような天気の日がありますが、高い山で立ち上がった雲が霧となって人々の暮らす街に流れ込んでいるんですね。

こちらは 山で生まれた雲がほどけていく様子です。ちょうど夕日が沈む頃合いと重なりました。

大川原高原から神山町の方向を臨む

積乱雲が峠を越えて霧となっていく・・・

人間の出来事に置き換えれば、辛いことも必ず終わって消えていく・・・

そんなことを示してくれたようで、ちょっと涙が出ました。

「山が好きか?」「海が好きか?」と聞かれてると、もっぱら海派だったのですが、

ここにきて山感じる神々しい体験にとても惹かれています。

海もかけがえのない存在ですが。

淡路島東側から

ではまた!