これは、私が佐那河内村の隣、神山町に住むフードフォトグラファー・近藤奈央(こんどうなお)さんとの公開往復書簡です。日々の暮らしの中で思ったこと、気づいたことをお互いのブログでお手紙のように伝えていきます。近藤奈央さんのサイトhttps://magewappa-bento.com/
なおさん
小学生の頃から広告批評に触れていたとは、ご家族の職業からして自然なことだったんだと思いますが、それにしても洞察力が長けていらっしゃるのは、当時読まれた記事におおきに好奇心を抱いていらした、そのせいなのでしょうね。
私はというと、無意識に触れてきた媒体の1つは「きょうの料理」です。親族に編集部の方がいて、幼稚園〜小学生の頃、半年に1度くらいだったか、まとめて月刊誌が届きました。そのきらびやかな世界に目を丸くしておそらくキラキラとしていたと思います(笑)
90年代初頭のきょうの料理を大人になってから見返すと目を見張りました。家庭料理を担う料理研究家には、辰巳芳子さん、小林カツ代さん、有本葉子さん、栗原はるみさん・・・コラムには大橋歩さん、スタイリングには高橋みどりさん。いわゆるシェフのレシピには、オーボンビュータンの河田さん、なんとジョエルロブションのレシピまで。信じられない客演ぶりです。
「たのしい菓子づくり」というパティシエによるレシピコーナーと、「かんたんおやつ」というコーナーがあって、小学生ながらに見よう見まねで挑戦しました。自宅にオーブンがなかったのでトースターで焼いて焦がしたり、バターを泡立てるとはわからず湯煎して生地がまとまらずどうしようもなくボロボロになったり。失敗してはよく泣きました(笑
本当に信頼できるレシピばかりで、当時の雑誌は実家にまだあり、気に入っているものはコピーして手元に置いてあります。いまだに見返してケーキを焼くこともあるんです。
先日のお手紙に
「私の場合、なにか大きな印象的なことにガーン!と触れて、そのあとバーン!と人生の方向性が変わる、というドラマとかでよくある展開は少ない気がします。」
とありましたが、私の場合は逆で、何か大きなことにガーンと触れて、その後バーンと人生の方向性が変わることばかりです。いまだにそうですね。その分心身を病んだりしましたが、乗り越えさせてもらった貴重な経験としてこれらも人にお伝えできたらと思っています。
さて、影響を受けた媒体は他にもいくつかあるので、次回またおなしできたらと思っています。