さわさわしたコーヒー vol.5

2023.01.23

徳島・上勝町にあるcafe polestarの東輝実さんとのたわいないけれど、それでいて遠くを見通すようなお喋りの記録。「さわさわしたコーヒー」とは、熱くて口に入れたらもうしゃべれないくらいハフハフしてしまうようなコーヒーのこと。詳しくは輝実さんに聞いてみましょう

東輝実さんのサイト https://note.com/nanimiyon

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輝実さん

こんにちは。前回のお手紙から年を跨いで1月も終わりそうという頃合いになりました。先日ご一緒したゼロ・ウェイストキッチンのこと(写真下)が記憶に新しいですが、お手紙を拝読しつつ 時を遡りながら綴っていきたいと思います。

●10月桜

知りませんでした。てっきり狂い咲きと思い込んでいて。自分の考えのバイアスですね。時期外れの花を見つけて「何かおかしい」と思いがちな私でしたが、そうとは限らず「大多数とは違う時期に咲く花もある」ということを忘れてしまっていたようです。

輝実さんが「人に迷惑をかけてはいけない」という自分が作ったルールに対して厳しくあり、そこに他人を巻き込もうとしていたとありましたが、私も自分のルールの中に世の中の何かを引っ張り込もうとしていたなと思いました。

気づいたんですから、次から引っ張り込まなくても生きていけそうですね。

●無秩序という自然

確かに世の中は法律が増える一方で、何か散らかったものを統制しようとする動きに私たちは流されているような気もします。秩序の外にはみ出したものを禁忌として扱う風潮は長くあるわけですが、そこを失っては人間とは不自然で味気ないもののようでなりません。

先日、友人が食に関するこちらの記事をシェアしてくれました。カニカマを理化学的に分解してアミノ酸値などを本来のカニの数値に近づければ近づけるほど、なんとそっけない味になってしまったということ。

私もこれに重なることを思い出しました。飲食店などにレシピを納品するとき、材料のg数と原価計算を添えるのですが、「設定した原価を超えないように」を頑なに守って作ると、原価の味がするんです(苦笑)。

私たちは決して数字を食べているわけではなく、どこかゆるさみたいな部分に安心や美味しさを感じているはず。せっかく五感という素晴らしい器官を備えているのだから、もちえる機能に感謝して味わい尽くしたいものです。

●自分の時間をたっぷり持っている

また話が変わります。先日、地域でお世話になっている女性が、書道教室の体験に来てくれました。見るからに思い切ってきて下さったので、とても嬉しかったのです。淡々とお稽古を進めていたのですが、後半、その女性がこんなひと言を発して。

「土曜の午前を自分のために使うなんて、70歳超えた今、本当に何十年ぶりかわからない」と。

ちょっと考えさせられました。私は単身で、自分の時間はほとんどを自分で自由に決められます。どちらかというと家事が好きだし、家庭を持って家族のために何かをするのはいいなあというちょっとした寂しさを抱えつつも、実は本当にありがたい生活をさせてもらっているのですね。

思い込んでいた価値観を違う角度から見せてもらい、異なる価値観に出会う。文字で書けば当たり前のようですが、考え癖のついてしまったところから脱却する機会をいただきました。感謝。

私もこうあるべきという自分で自分にかけた呪縛を・・・今年は存分に解放して一層心地よく生きたいなと思っています。

素敵な気づきをありがとうございました!

ゼロ・ウェイストキッチンについては引き続き さまざまな考えや感性を交錯していきたいのでまた次回!