ヤッホー!暮らしの往復書簡vol.91

2022.10.10

コラム

これは、私が佐那河内村の隣、神山町に住むフードフォトグラファー・近藤奈央(こんどうなお)さんとの公開往復書簡です。日々の暮らしの中で思ったこと、気づいたことをお互いのブログでお手紙のように伝えていきます。

近藤奈央さんのサイトhttps://magewappa-bento.com/

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仁木町の畑

なおさん

初めてのこと、やっぱりドキドキしますよね。

今までやってこなかったことや、避けてきたことをやるというのは 私も勇気がいります。

私は先日、知人の紹介で北海道 余市郡にある仁木町を訪問しました。

なぜ行くことになったのでしょう。よく分かりません。

今行く必要あるのかな、いやないんじゃないか、行くのを決めた後にさえあれこれ思いました。

当日の朝、空港までのバスはギリギリ間に合うかどうかという時間で

「もおいいや、間に合わなかったら縁がなかったということで。」

そんなふうに思いながらバス停へ向かうと、私の到着と同時にバスが乗り込んできて間に合う始末でした(これは行きなさいというか 、行かせてくれるということだろうと)

恥ずかしながら下調べも甘くその地に着くと、木村秋則先生の農学校がある土地でした。

広大で美しい大地と空。あまりにも美しくて 言葉が出なくて。

訪問した農家さんは、”奇跡のリンゴ”で有名な木村先生の農学校に通われていた方で、自然栽培を実践されています。

作物の様子に丁寧に目を向けていらっしゃって とても温かみがありました。

(仁木町での出来事はまた別のところで綴ります)

帰ってから、木村先生の著書をあらためて読みました。すると励まされる言葉にたくさん出会ったのです。

「私は りんごの木の葉や実ばかり見ていた。大切なのは土や根、目に見えないだった」

人間関係に置き換えてみるなら、目に見える部分は人の姿形やその行動。

しかしもっと気にかけたいのは目に見えないところ、つまり心や魂なのでしょう。

見えないもの、こと、まだ経験していない未来。

それを大切に大切に扱えば、目に見えるところばかり気にしていた頃より、ずっと大きな実りを必ずいただくことができます。

そう確信させてもらえた旅でした。

思い切って一歩踏み出すと 予想外のギフトをいただけますね。ではまた。