これは、私が佐那河内村の隣、神山町に住むフードフォトグラファー・近藤奈央(こんどうなお)さんとの公開往復書簡です。日々の暮らしの中で思ったこと、気づいたことをお互いのブログでお手紙のように伝えていきます。
近藤奈央さんのサイトhttps://magewappa-bento.com/
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なおさん、
こんにちは。新しい道具で開ける新しい世界、ありますよね。
私にとっては ハンドブレンダーがそれかもしれません。
例えばポタージュ。
とりあえず 手持ちのフードプロセッサーでなんとか”みじん切り野菜スープ”はできても
ポタージュにはならないんですよね。刃物の違いです。
素材を刻む機能のチョッパーなのか、素材同士を繋いで乳化させる道具なのか、役割が違うんですよね。
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私には「あるものでなんとかする」という癖があります。
書道のワークショップを始めたころ、参加者分の書道道具を揃えられなくて、硯を使わずに絵皿を使っていたことがあります。
後で先生にすごく指摘されました。
墨汁を入れる、という機能だけで考えたら 絵皿でもよかったかもしれませんが、
書を教える立場たるや、道具だけはきちんとしなさいと。
道具の真価がわかっていなかったんですね。
「とりあえず」のもので作ると、やっぱりとりあえずの結果になるし、それでいい人たちが集まります。
「本気」で調度したもので作れば、本当のものが生まれ、本気の人たちが集まります。
まさになおさんの曲げわっぱがそうですね。
「あるものでなんとかする」というのは、
ある側面から見れば「工夫する力」。
別の面から見たら、何かの理由を見つけて 新しい環境を整備することを拒んでいる心理。
おかげさまで 書きながら自己整理になりました。
ではでは!