チャレンジとくしま2020

2020.01.13

コラム

ひさしぶりの美術館での展示です。5mの高い天井高。
作品を近くでみたり、遠くでみたり。

王鐸 「詩巻」の臨書です

王鐸(おうたく)は、明末清初の書家です。「詩巻(しかん)」は、自在に筆を操っている草書の書きぶり、激しさとリズムが魅力的で、その冒頭部分を臨書しました。いわゆる草書が一層連なって表現されていることから「狂草」とも呼ばれています。後半に差し掛かるほどに勢いが増し、静かにディゾルブしていくというよりは非常にクレッシェンドがかかった終わり方で、音楽的にも映像的にも捉えることができます。
王鐸といえば、明と清の二つの朝廷に仕えた高官で、当時は問題視されたわけですが、フリーランスとして働く私自身の見地から、副業やダブルワーク、パラレルワークが働き方の選択肢となっている現代に置き換えてみると先駆的だったのではないかと捉えています。今回の作品は過去に習作として書いていたものを作品化したものです。2020年の始まりに感謝を添えて展示します。

「変幻する水」
昨年、スパイラルホールと、徳島での個展でも展示した作品

川のずっとずっと奥。静かな山で水が生まれる。水は山を伝って川となり、景色を取り込み、色形を変えて海へたどり着く。間もなく渦に巻かれ、次の潮に放たれる。水は形が定まらない。
常に流れていて、いつも新しい。
昨日はひどく荒々しく、今日はやけに穏やかで優しい。
一体どれだ変幻するというのか。
この地の人々の心を映して、水は今日も流れている。

徳島の美しさについて県内在住者にヒアリングを行って制作した作品。徳島の方々の水に対する思いの深さを知り、形を変えて豊かに流れる徳島の水の美しさを漢字一文字の「流」にこめた。顔彩を阿波晩茶でとき、塩をほんの少し加え、この地の風土を表現した。

「びざん」

眉のごと 雲居に見ゆる 阿波の山  懸けて漕ぐ舟 泊り知らずも
(万葉集 第六巻 九九八番歌 作者:船王)
万葉集に歌われた眉山の句の前半「まよのごとくもいにみゆるあはのやま」を、眉山の深い緑色のイメージと重ねて書いた。文字をどこまで崩すことができるのかチャレンジした

こちらの木製作品かけは、クリエイティブユニットgrafさんにデザインいただいたもの。

老若男女問わず、
作品のジャンルも問わず 多様な作品を観ることができます。
ぜひおいでください。
https://art.tokushima-ec.ed.jp/challenge/2020/